シンガポール:合成カンナビノイド薬開発に2500万ドルを投資 2018.01.15

世界でも特に厳しい薬物政策をとっているシンガポールで、合成カンナビノイドに関する大規模な研究がスタートしました。1870年に大麻を禁止したシンガポールでは、大麻の所持または使用は最大10年の懲役または2万シンガポールドルの罰金、もしくはその両方が課せられ、500グラム以上の大麻を輸出・輸入した場合は死刑となる場合があります。


当然ながら医療大麻も認められておらず、CBDオイルもNGであるようです。とはいえ、大麻草またはヘンプから抽出するのではない、合成のカンナビノイドであれば有効活用できると考えているようです。


シンガポールの科学者は、大麻草に含まれる、副作用や社会悪のない化学化合物カンナビノイドの治療可能性を明らかにしようとしています。カンナビノイド系医薬品は特に化学療法に伴う吐き気・嘔吐の緩和に役立ちます。


薬物乱用者が喫煙する大麻草の栽培はシンガポールでは違法です。しかし新たな合成カンナビノイド生物学プログラムでは、大麻草を栽培することなく、医療用カンナビノイドの持続可能な生成のためのカンナビノイド遺伝子を特定します。


このプログラムは、1月10日にシンガポール国立研究財団(NRF)によって発表された新たな研究戦略の一環です。2500万ドルを投資したこの合成生物学研究&開発(R&D)プログラムは5年計画で、シンガポールにおける合成生物学研究の強化に役立ちます。これは、工学的生体系による天然物の生成を支える科学に関係します。


合成生物学は現在の天然物の化学合成および抽出方法に取って代わる可能性がある、とNRFは述べています。現在の方法は多くの苦労と費用を必要とし、生産性も低いのです。


NFFは10日に発表した声明の中で次のように述べました。「持続可能性やより効率的な天然資源の利用を求める世界的な流れに従って、生物科学における研究と革新に基づいて成り立つバイオ経済は、シンガポールの製造工程、健康と栄養学を変換し、質の高い仕事を伴う新たな業界を成長させることができるでしょう」


市場調査会社アライド・マーケット・リサーチによると、世界的なバイオ市場は2020年までに3億8700万米ドルに到達することが見込まれています。アメリカや中国といった国々でも、合成生物学能力の開発に投資しています。


NRFのプログラム局長であるジョージ・ローは次のように述べています。「合成生物学研究は成長しつつあり、我々は工業用途のためのトランスレーショナル・リサーチに向けて動く体制が整っています」


シンガポールの新たなR&Dプログラムには3つの目的があります。


合成カンナビノイド生物学プログラムの開発のほか、商品化に向けた独占的酵母菌および細菌株の確立、稀な脂肪酸などのバイオ化学物質の分配です。


植物生物学およびバイオ技術専門家で新たなプログラムの責任者であるチュア・ナム・ハイは、独自の株の元で微生物生命体を生成することは広範囲の化合物生成に役立つ新たなプラットフォームを提供でき、また多様な知的財産を作り出せる可能性がある、と話しています。


商用関連の化合物の生成ならびに新たな独自株やプラットフォームの利用は、これらの化合物を自社製品に利用したい産業を引き寄せるだろう、とチュア教授は付け加えました。


シンガポール国立大学や南洋理工大学といった施設の科学者が指揮する4つの研究プロジェクトが、すでにこのプログラムの元で補助金を受けています。テマセク生命科学研究所の副所長でもあるチュア教授は、4つのプロジェクトは合成生物学におけるシンガポールの可能性を前進させるだろうと話しています。


「このプロジェクトは、シンガポールが将来的に合成生物学アプローチによって多角的な専門化学物質の生成に必要とされる資源を全て持っていることを保証するものです」